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たぶんたぶん一生そこに行くことはないと思っていた。
興味がないわけでも、嫌いな訳でもない。ただ僕には無縁な気がしていた。
ちょっと手を伸ばすと空に手が届きそうだ。どおりで空気が薄い訳だ。今日、僕はここにいる。無縁だと思った場所で青空を眺めている。また偶然遠くに来た。今度はかなり遠いし、空へも近い。この大地に立ち、満身で風を聴く。空一杯に広がり迫る鉛灰色の氷晶の群から聞こえる空の鬨声は、遙か彼方から僕を呼んでいるようだ。
なんと広闊な世界か。
流れる時は自然の倣い。この天地に生きるすべてが、スローモーション。
今の僕には持ち得るはずのないすべてがここにはある。
たぶんそれは遙か彼方、時の昔ベーリング海を渡った時の忘れもの。
細く繋がる糸の先にみえる天地悠久への思い。
暗黒な世界から、手繰りよせた相生の輪は偶然か、必然か。
この場所に落ちた雫から広がる出会い、別れ、それは表裏一体の永久の理。
響き会うことを約束した日は、遙か彼方の出来事か。それとも錯覚なのか
新たな始まりは今日ここから。
たった一つの出会いは、螺旋に刻まれている最初の波紋。
僕の無意識に刻まれている波紋は、さまざまな想いと時間に共鳴し、さらなる広がりを明日に見せるはずだ。
それは時の魔法か。宿命のいたずらか。
無意識内にある、心泉の奏でる音色を聴こう。
生きることに無縁なことなど、なにもないことをきっとその音色は教えてくれる。